私の投資失敗談~短期トレードの限界~

今回は私の生い立ちと投資歴をご紹介します。どのようにして投資をスタートさせ、そして色々試してきた投資手法でどんな失敗をしてきたのかをご紹介します。皆さんの中にも共感いただけるかもしれません。今後の投資のヒントになる情報があれば幸いです!

目次

 1.お坊さん投資家の生い立ち
 2.お坊さん投資家の失敗歴
   ① FXスキャルピング
   ② チャートを使った日本株デイトレード
   ③ 日本株の決算下方修正や不祥事案件の逆張り
   ④ FXや日本株の自動売買
   ⑤ 日経平均騰落レシオの逆張り
   ⑥ 資源関連CFDの空売り
 3.失敗の原因
   ① 投資のルールが定まらない
   ② 損大利小を繰り返す
   ③ 資金管理が不完全
 4.投資の心得
   ① 現金比率の維持
   ② 勝つ前に生き残る
   

 ざっくりですが現在の我が家の総資産は約3000万円。投資に割り当てている金融資産は2500万円。本格的に投資を始めたのが30歳の頃ですから、10年ちょっとでここまで積み上げてきました。サラリーマン時代と僧侶としての仕事では貯蓄額はたかが知れていますので、殆どは投資で積み上げてきた金額です。
 この金額で「投資家」を名乗っていいのかどうかわかりませんが、現在は僧侶としての仕事と共に、株を中心としたトレードを日々行っています。今は取引手法がある程度確立している一方、その精度や効率性を上げるべく日々研究を重ねています。

1.お坊さん投資家の生い立ち

 私は関東のとある県にあるお寺に生まれました。実家はお寺でしたが「将来寺を継げ」というようなプレッシャーはあまりなく育ちました。高校もそれなりの進学校へ進み、「僧侶専門の大学への進学」は勧められませんでした。社会へ出て色々勉強してこいというのが父のメッセージだったのかもしれません。

受験勉強に精を出し、いわゆるMARCHとよばれる大学へ進学。在学中はあまり勉強熱心な方ではなく、いわゆる文系入学で遊んでばかりいる学生だったと思います。そんな中で漠然と将来を考えるうち「仏教」に興味を持つようになります。大学院進学の後、自坊の宗派の修行に行って僧籍を取得。一応僧侶の資格を得ました。

 大学院に進学したものの僧侶の道へ直ぐに進むことは考えず、教員免許を取得しましたが迷った挙句一般企業への就職を選択します。就職した先は損害保険会社。財閥系の保険会社で就職ランキングは常に上位に位置しています。そう、なぜその企業を選んだのか。第一は収入がいいからということ、次にネームバリューです。見栄を張りたかったんですね。

 元々遊び人気質がある私は貯蓄や投資等は考えず、給料やボーナスが入っては酒に買い物旅行、散財浪費を繰り返していきました。振り返ってみると、この時の散財を投資に回していればもっと資金効率よく資金を増やす事が出来ていたかもしれないとも思うこともありますが、この時の経験はそれはそれでよかったと思っています。20代だからできた考え方だし遊び方だったと思います。

 そして30代に入るタイミングで会社員生活に限界を感じ「これではダメだ」と気づき投資に興味を持ち始めます。色々な本を参考に投資を行ってきましたが、どれも短期で大きく利益を伸ばすというものが前提。試行錯誤を繰り返しました。今流行りの米国株に投資していれば…と考えることもありますが、何しろトレードをしていないと気が済まない性格で、ぼーっとして暇になるトレード(これが良い投資だと気付くまでかなりの時間を要しました)は向きませんでした。

 振り返ってみると当時の私の心理状態は常に「勝ち続けること」だけを意識し、自分の根拠のない自信を貫き、大きく資金を減らしてようやく失敗していることに気づくというサイクルを繰り返していました。投資で大切なことは「負けないこと」「相場から退場しないこと」です。退場しないというのは「相場がどんな状況になっても資金が枯渇しないこと」です。これが投資する上では一番大切だと考えています。

 そしてその退場を回避するために大切なのは「知識」「戦略」そして「メンタル」だと思います。知識と経験、そして明確なロジックをベースとした戦略があっても、想定外の方向に相場やウォッチしていた銘柄が動いた時に、動揺しない心が大切だという事をこれまでの失敗で学ぶことができたと思います。

 相場は自らでコントロールできません(イーロンマスクとかあのレベルに行けばもしかすると一部コントロール可能なのかもしれませんが)。相場はどうあるべきか、を考えるより、自分がどうあるべきかを考え続けながら相場に向き合うとよいでしょう

2.お坊さん投資家の失敗歴

ではせっかくですので、自身がこれまで実践した投資手法と失敗原因をご紹介しましょう。皆さんがされているトレードでも同様の失敗経験があるかもしれません。何が失敗だったのか参考になさってください。

① FXスキャルピング

株式相場と違って土日を除くほぼ24時間取引ができるのがメリットのFXトレード。短期で一気に資産を増やそうと手を出しました。しかし、逆に短期間で一気に資産を減らしてしまいます。
しかし、 明確な利確と損切ラインを設けておらず、自然と損大利小のトレードを繰り返していました。また、 実質的な手数料である通貨間のスプレッドがある以上、基本的にはトレードすればするだけ損が出ることに気づきました。もちろん私が失敗しただけで、独自のやり方で利益をあげているトレーダーもいますので、全てのスキャルパーを否定しているわけではございません。でも私は完全に×でした。

② チャートを使った日本株デイトレード

 日本株の中でも値動きが大きい銘柄を中心にトレードを行いながら売買益を積み上げるスタイルを目指しました。テクニカルや寄りつき引け等のタイミング、ストップ高銘柄の持ち越し等色々トライしました。結果、明確な利益確定ルールを模索しながら失敗を繰り返し、こちらも結果的に損大利少の取引となってしまいました。
 このジャンルの専業の方もいるようですが、最近では機関投資家やヘッジファンドが秒コンマの世界でのスピード取引、アルゴリズム取引を幅広く展開しており、一般投資家や私のような素人は出入り無用というのを痛感させられました。

③ 日本株の決算下方修正や不祥事案件の逆張り

 オリンパスの社内不祥事や大きく決算を下方修正した企業の逆張り戦略をでの取引です。
成功したケース(購入後上昇)もありましたが、失敗したケースの損切りのタイミングを上手く設定できませんでした。勝率は高かったものの、トータルでは負け越しという結果になりました。ここでは勝率ではなく、1取引あたりの期待値が重要であることを痛感させられました。

④ FXや日本株の自動売買

それまでの失敗を活かし、少なくとも損失が発生している際の心理的ダメージを抑えるため、有料のサービスも含めいくつかの自動売買に手を出しました。
チャートを中心に平均移動線やMACD、サイコロジカル等を駆使し様々設定した自動売買を試しましたが、結局どれも上手くいきませんでした。自動売買の前提は過去の値動きを参考にしているものです。
 投資家に有名な「ランダムウォーカー」という有名な本がありますが、そこで指摘されている通り株価は基本的にランダムに動くことを実体験。少なくとも私の実践した自動売買では将来の値動きを予測することはできませんでした。

④ 日経平均騰落レシオの逆張り

騰落レシオとは、市場の値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の比率から、市場の過熱感を見る指標で、いわゆる買われすぎ、売られすぎを見るためのテクニカル指標です。
騰落レシオは100%が中立の状態で、100%を超えると値上がり銘柄のほうが多い状態を意味し、120%以上になると過熱気味、逆に、70%以下は底値ゾーンといわれるのが一般的です。
この指標が過熱もしくは底値のラインを超えた時に逆張りを展開するという手法を実践しました。こちらも成功することもありましたが、そのまま下がり続けたり、逆に上がり続けることもありました。
一定期間の値動き分のデータを取っているため、本当に短期的な指標として活用する必要がありましたが、そこを上手くコントロールできなかったことが敗因です。

⑥ 資源関連CFDの空売り

 CFDとはContract for Differenceの頭文字をとったもので、「差金決済取引」のことを指します。現物での受け渡しを行わずに、反対売買によって出た金額の差で決済するため差金決済取引と呼ばれます。FX取引も広い意味でCFD取引に含まれています。株価指数(日本225、米国ダウ30、米国NAS100)や商品(金、原油)等への投資が可能となります。私はこの仕組みを使って、原油と希少資源のパラジウムの取引を行いました。短期間で大きな上昇をした投資対象に売り建て(元の水準に戻ることを見越して買いではなく売りで仕掛ける)を行いました。
結果はどちらも想定通りの方向へは行かず大きな損が出たタイミングで損切りを行いました。
空売りは日本の株式相場でも信用取引等を行うことで取引が可能ですが、基本的に「青天井」です。買い建ての場合は下落した際に底値がわかります。しかし売り建ては理論上価格はどこまでも伸びてしまいます。心理的にはそこが非常にきつく、基本的にこの失敗から売り建ては自身の中で禁止しています。

 これらはどれも誰がやっても完全にダメ、という事ではなく、それぞれのトレーと手法で成功を収めておられる方もいらっしゃいますし、タイミングによる部分もあったのかもしれません。

私の性格が合わなかったのかもしれませんが、いずれにしても「成功しなかった」ことは厳然たる事実としてここにあるわけです。

3.失敗の原因

これは自身で構築したもの(仮説➡実践)から他人のトレードを真似たものまで様々試しましたが、その過程では様々な失敗を経験しました。
ここで失敗の原因を改めて振り返ってみたいと思います。

① 投資のルールが定まらない

振り返ってみると、「その投資法は上手くいかない(継続的に利益を上げられない)からもっと早く止めて別の方法にトライすべきだった」と思える場面が数多くあります。ある意味これは投資法を確立するためのステップかもしれませんが、時間とお金を多く喪失しました。事前に資金をいくら投入し、どのくらいのトライ(投資の機会)を行い、ダメならどのタイミングで撤退するのかを入念に決めておくべきでした。

② 損大利小を繰り返す

取引を行い完全なルールを決めていない場合、「利益は出来るだけ早く確定」させ、「損は利益になるまで放置する」傾向にあります。これは私に限らず人間であれば誰でも同じような行動を取ってしまうようです。
「損切りが大事」というのは百も承知でしたが、曖昧なルール設定でそれが都度悪い方に修正され、ズルズルと損を拡大させました。そして損がピークになった時に損切りすることでさらに損を大きくさせてしまったのです。
損が出始めた時の明確なルール設定は必ずしておくことが重要です。

② 資金管理が不完全

投資で大切なことは損切を適切に行うか、いずれ買った株価に戻る前提であれば資金管理(分散投資)が重要だと思います。このどちらかがしっかり行えていれば、投資の世界から退場を余儀なくされることはないと考えています。私はこの2つがどちらも欠落していました。一度設定しても②と連動しますが、「もう少し様子を見てみよう」「明日は戻るかもしれない」と根拠のない希望に身を任せ損切ができなかったり、一つの銘柄や投資対象に大きな金額をかけたりしていました。予め投入する資金について入念にシミュレーションを行う等、改めて投資対象の選定と投資ルールの設定と共に資金管理の大切さを痛感しました。

4.投資の心得

この失敗原因を経験から、最適な投資バランスとはどのようなものなのでしょうか。具体的な投資手法ではなく、投資をする上でしっかり押さえておきたい心得を2つご紹介しましょう。

① 現金比率の維持

私の考える株式を中心とした投資をする上で最適な投資バランスは全投資金額の少なくとも1/3は現金で残しておくという事です。「CASH IS KING」という格言があります。

「いやいや現金で持っておくより株を持っていた方が値上がり益を期待できるかもしれないし、配当ももらえるじゃないか」というお声を頂くかもしれません。しかしご存じの通り株価は上がったり下がったり、時には暴落と言われるような大きな下落をすることもしばしばあります。その暴落の時こそ現金で残しておいた1/3を投下するのです。そしてまた株価が戻ったら利益を確定させてCASHにしておくのです。場合によっては中長期で保有すべき高配当株を持ち続けてもいいでしょう。株を目いっぱい保有してしまうと、その暴落時に身動きが取れなくなってしまいます。これは大きな投資チャンスを減らしてしまいます。虎視眈々とその時を待つことで大きな利益につなげられるのです。

② 勝つ前に生き残る

 これまで失敗してきた投資を振り返って、その時々には気づかなかった投資をする上で一番大切なことがあります。
それは「負けた分を取り戻すためには倍の利益率を確保しなければならない」という事です。ピンとこない方もいると思いますので具体的な例で見てみましょう。

 100万円 ⇒ 50%のマイナス取引 ⇒ 50万円 ⇒ 100万円に戻すため ⇒ 100%のプラス取引

いかがですか?損失を出すことは、その分を取り戻しさらに増やすためには倍以上の利益率が必要という事になります。バークシャーハサウェイを率いるウォーレンバフェットの有名な名言に「勝つ前に生き残れ」という言葉があります。私は散々負けた後にこの言葉の重要性に気づかされました。身銭を投じて投資をするという事は、買っても負けてもそれだけで貴重な経験をしているわけです。しかし、トレードスキルと経験を得ても投資資金を失っては元も子もありません。

 持っている資産を増やす前に、大きく減らさないことを意識して投資を進めていきましょう。

 

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この記事を書いた人

僧侶だけでは妻子を養えず投資をしています。MARCH院卒→JTC→僧侶。
遊びと浪費と借金の20代→貯金ほぼ0の30歳→10年で投資用資産2千万円台!家計合算の総資産約4千万円。最新の高配当中心の日本株年間配当額は約67万円。良い時は驕らず、悪い時は腐らず。生きる上で大切なことは投資から学びました。

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